1月、簡易日記(verティート)。
1月31日
あれで「勝った」だなんて驕りたくなかった。
コノビと共闘してやっと五分だった。それじゃ満足なんて出来やしない。
……同じ志の相手と高め合う、か。
成る程、俺も狂戦士に感化されてしまったか。
1月29日
スポンジケーキにパイナップルを串刺しにするんじゃない。
1月28日
マジックアイテム、ああいうのもあるんだな。魔力を込めただけで勝手に動くのか。
理念……深く考えた事もなかったが。
まず目の前だけで手一杯なのが本音だ。
今は、強くなる事を。
1月27日
イラっとはしたが、エルザスに1発当ててやれたのと胡散臭い男の尻を燃やしてやれたので差し引きゼロか。そういう事にしておこう。
1月21日
エルフェルトの家族……気にした所でできる事もないんだがな。
あの大剣が所縁のある品かと思えばそんなニュアンスでもなかった。手詰まりだ。
誰かと向き合おうとしてる気はなかったんだが……違うのか。
エルフェルトにわざわざ立ち入ったのも、ミコトとイフユとの事を気にしたのも。
成る程、俺は1人にはなりきれてないらしい。
1月18日
商店街を歩くのも一苦労だ……スヴェートには助けられたが。
1月14日
辛うじて生還したが……誰が欠けても勝ち目はなかったな。
スヴェートが前衛として敵を引き付けていたから俺達は比較的安全に攻撃できた。アルノルトは撹乱と主な火力。
俺は……偶々だな。リール商会で水の属性球を多く引き当てていたのが幸いだった。それを全て使い切ったのを見ればわかる、俺自身の力では恐らく何もできなかっただろうと。
俺はまだまだ弱い。……だからこそ強くなれる。
今回の旅も怪我も糧にして。
銃の腕も、魔法も、治癒術も。それまでは勝手に死に急ごうとするなよ?あの馬鹿が。
さて、予期せず長期休暇ができたか……暇だ。
暇だから自身で治癒術の練習ができるわけだが。自然治癒力に比べれば治りも早かろうが、不便極まりない。
1月13日
心配……しても仕方ない事なんだろうがな。
あのくらいの歳で宿もなく暮らさざるを得ない子どもなんざ珍しくもない、か。故郷でも知らないわけじゃなかったが……
理解しろよ、ティート・アルジェント。
誰も彼も救える程大層な器じゃないだろうが。
1月12日
(汗のような染みで解読不能。大した内容は書いていなかったが筆跡が多少乱れていた)
1月11日
知らないわけじゃなかったが、レルスは強かった。いや、自分が相対するのは初めてという意味ではちゃんと知らなかったな。
恐らく、初撃を避けられずに倒される事もあり得た。寧ろそうならなかった事が幸運だったようにすら思える。
成る程、弱い者虐めか。
適切な表現なのが腹立たしいが。それで強くなれるなら安いものだ。
……レルスに礼を言いそびれたな。干し肉でも持って行くか?
タバサ、あれは危ういな。
思う所があるのはわかる。嘘をついている様子もない。が……どうも感じられる物がなかった。
例えば……似て非なるのはソニア辺りか?
向こう見ずに死地へ赴こうとする辺りは。
違うのは「何をもって守ろうとするか」か。
タバサの見方はどちらかと言えば、青や、赤にすら似て見える。寧ろ「無所属の傭兵」こそ的確か。
何となくわかった、かも知れない。
何故あいつにああも腹を立てたのか。
恐れてるんだ、きっと。
何を。
恐れたとして、さして意味もない物を。
1月9日
……歌でも練習した方が手土産は増えるのか?
1月8日
タバサは……どうもまだまだ幼いらしい。背だけは大きいが。
魔力も膂力も俺より遥かにあるんだ、胸を張ってでもなければ力も十二分に振るえまい。
ま、今回のでマシにはなったか?
俺自身も多少は貢献できたか、恐らく。
今回は補給役が関の山だったが、治癒術が本当に身に付くならば。いずれは。
あのシスターは絶対敵に回してはいけない。
根拠はない。ただ本能が、魂がそう言ってる。
1月6日
何故、と思う程には口を滑らせた気がする。
きっと、俺が愚かなだけだ。
あの間抜け面に絆されて容易く話してしまう事柄だったか?
ああも感情を剥き出しにしたのはいつ以来だ。
気持ちを吐き出す事で多少でも気が晴れるなんざ、馬鹿だな。
いずれ殺し合う可能性すらある相手に。
1月5日
……あの技、難しいな。
かなり難易度が高いのか、俺自身の適性か。雪花の指環がなければもっと精度は落ちただろう。
逆を言えば、指環で集中力を研ぎ澄ませば。少なくとも覚えるまでの補助としてはいい。
限界まで魔力を使い果たす程練習をしなかったツケが回ってきたんだろう、なら今がツケを払う時だろうな。
1月4日
福袋……これは当たりなのかどうか。
結界を張れるリップクリームと属性球は有り難いか、あと投擲具も。
仕込み剣は……ただでさえ剣の扱いは挫折したし、細すぎるだろう。傘の親骨に仕込むのを重視すれば自ずとそうなるが。
使い道はいずれ見えるかも知れない、手元に置いておくか。
1月3日
ナルネヴィル・イエロウ。ま、聞いてた通りと言えばそうだし。大方予想通りだったか。
ソニアの言い分を甘いと言ってしまうのは簡単だが。恐らく、そう非難する認識の方が甘いんじゃないか。
仮にこの戦で散ったとして、あいつに後悔はない気がする。根拠を持てる程の関わりはないが。
……止めだ。言えば言う程、同じ言葉が自分に降りかかる。
1月1日
新年早々疲れさせられた。まさかペティットでもシルヴィのお守りをさせられるとは。
家を離れればああいうしがらみが無くなるかと思えば、そう簡単でもないらしい。
あまり忌避する物ではない程度には悪くなかったか……馬鹿げてる。
さて、戦争も近い。
ここで散らぬとも限らんが。